猛暑による熱中症対策

PREVENT HEAT STROKE

CHAPTER 01
温度計を持つ人の手の画像

近年、気象庁の統計は観測史上最高の平均気温を毎年のように更新しています。ここ数年、日本を含む世界各地で 40 ℃前後の気温が常態化しつつあります。私たちは改めて「猛暑」と「地球温暖化」が切っても切れない関係にあることを、いま一度直視しなければなりません。

温暖化は地球全体の平均気温が長期的に上昇していく現象です。猛暑はその“結果”であると同時に、私たちの暮らしに直接的な脅威をもたらす“現象”でもあります。たとえばアスファルトやビル群が熱を蓄積・放射し続ける都市部では、夜間も温度が下がらず、ヒートアイランド現象を加速させています。エアコンなどの冷房使用が爆発的に増えれば、消費電力とCO₂排出量も増加、さらなる温暖化のスパイラルに拍車をかけてしまうのです。

つまり、猛暑は温暖化の「原因」でも「結果」でもある。この悪循環を断ち切る鍵は、今を生きる私たち一人ひとりの気づきと行動にかかっています。

CHAPTER 02
牛の画像

さて、続いては「猛暑によるデメリット」に注目していきましょう。真夏の炎天下、ただでさえ暑さに弱い高齢者や乳幼児にとって猛暑は命に関わるリスクを伴います。近年、熱中症による救急搬送件数は年々増加し、一部の自治体では病床が逼迫する事態も発生しています。

家畜や農作物に与える影響も深刻です。
牛や豚は高温に非常に弱く、乳量や肉質の低下が報告されています。特に養豚業では、母豚がストレスによって食欲を失い、出産後の体調管理が困難になる事例が多発しています。畜産業においても、空調設備の導入や換気システムの強化といった新たな設備投資が迫られています。
ビニールハウスの作物は高温障害を起こし、葉焼けや実割れなどの被害が広がり、農家の方々にも深刻な影響が及んでいます。

道路を走る車の画像

加えて、猛暑は交通インフラにも打撃を与えます。鉄道のレールが熱膨張でゆがむ、高速道路のアスファルトが溶けるといった現象は、もはや珍しいことではなくなりました。私たちの暮らしの足元が、暑さによって脅かされているのです。
さらに、屋外や屋内の高温環境における作業は、定期的な休憩も余儀なくされ、生産管理に頭を抱える工場や現場監督にとっては経済的損失も大きな課題となっています。

快適な活動を維持するためには、気候変動への根本的な対応に加え、暑さそのものとどう共存するかという現実的な対応力も求められています。

CHAPTER 03
作業員の画像

事業者に義務付けられる熱中症対策 具体的な内容とは?

近年、日本列島を襲う記録的な猛暑は、もはや「夏の気候」の一言では片づけられないレベルに達しています。とくに2020年代に入ってからは、6月から猛暑日(最高気温35℃以上)が連続し、全国各地で40℃を超えるような異常高温が報告されています。こうした気象状況は、私たちの「働く環境」に重大な影響を与え始めています。

2025年6月1日以降、熱中症のおそれのある作業、具体的には「WBGT(暑さ指数)28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間以上の実施」が見込まれる作業を対象として、事業主に対し、具体的な熱中症対策を講じることが義務付けられます。事業者が講じるべき熱中症対策は、大きく分けて「報告体制の整備」「実施手順の作成」「関係者への周知」の3点です。

義務化される熱中症対策

  • 01 報告体制の整備

    熱中症のおそれがある労働者を早期に発見できるよう、「熱中症の自覚症状がある労働者」や「熱中症のおそれがある労働者を見つけた者」がその旨を報告するための仕組み作りが求められます。具体的には、事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等の作成が挙げられます。

    併せて、積極的に「熱中症の症状がある労働者を見つけるための措置」として、職場巡視やウェアラブルデバイス等の活用や双方向での定期連絡等現場において取り組まれている効果的な措置を講じることが、通達で推奨されます。

  • 02 実施手順の作成

    熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に迅速かつ的確な判断が可能となるよう、作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等熱中症による重篤化を防止するために必要な措置の実施手順を事業場ごとにあらかじめ作成する必要があります。

    厚生労働省のサイトにて、実施手順の参考例が添付されていますので、ご確認ください。

    資料1-1 職場における熱中症対策の強化について
  • 03 関係者への周知

    上記①②に関しては、あらかじめ関係者に周知し、万が一の際に機能するようにしておかなければなりません。労働者だけでなく、労働者以外の熱中症のおそれのある作業に従事する者=関係者として、幅広く含まれます。

まとめ

  • 01 企業側に求められる対応

    企業側に求められる対応はますます高度化しています。たとえば「WBGT(暑さ指数)」をリアルタイムで測定し、警戒レベルに応じて作業時間を調整するシステムの導入や、スマートウォッチを活用した従業員の体温・脈拍モニタリングなど、テクノロジーによる熱中症予防が注目されています。さらに、長期的には「猛暑対応型の働き方改革」として、夏季は勤務時間を早朝や夜間にシフトする、在宅勤務を基本とする、冷却ベストの支給など、柔軟かつ実効性の高い施策が不可欠です。

  • 02 労働安全衛生法の改正

    労働安全衛生法の改正も視野に入れる必要があります。現行法では、熱中症を労災と認定する基準があいまいな部分も多く、労働者側の自己責任とされがちです。これを是正し、「猛暑対策は企業の義務である」という共通認識を業界全体で醸成することが今後の大きな課題となるでしょう。

    • 企業における熱中症対策は、罰則付の義務規定となる見込み

    • 「報告体制の整備」「実施手順の作成」「関係者への周知」への対応を怠った場合、法人や代表者らに6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があり

    • 企業の安全配慮義務の一環として、必要な熱中症対策を推奨

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